マザーハウスは2006年に創業し、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念を掲げて、途上国の素材や手仕事を大切にしたものづくりに取り組むファッションブランドです。
マザーハウスの特徴は、職人によって生み出される高品質な商品に加え、年に一度のサンクスイベントをはじめとした「ブランドと顧客の距離の近さ」にあり、ブランドやスタッフが持つ高い熱量が、多くのお客さまを魅了し続けています。
コロナ禍を経てオンラインでの顧客接点づくりにも取り組む中で、Shopifyへ移行するとともに顧客管理の土台を見直し、「どこポイ」「Omni Hub」「CRM PLUS on LINE」といったShopifyアプリが採用されました。
実店舗を中心に成長してきたマザーハウスが考える、オンラインストアや顧客管理基盤をShopify中心に切り替えた理由と得られた効果、今後の展望についてお伺いしました。
【インタビュイー】
株式会社マザーハウス コミュニケーションデザイン部門
ICTチーム グループ統括マネージャー 増田 康太郎 様
ホテル、精密機械メーカーのIT部門を経て、2021年マザーハウスに入社。 ITのチームをリードし、全社のITインフラ・アプリ全般の企画・開発・運用保守や業務プロセス改善等に従事。
Shopifyに関してはEC担当とタッグを組んで、CRMや各種オペレーション構築を担当。
ブランドの想いを伝え、顧客の熱量を高める対面コミュニケーション。オンラインでも再現するために、Shopifyを中心とした顧客管理基盤を構築
ー マザーハウスの概要やこれまでの販売の状況を教えてください。
マザーハウスは「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念を掲げ、2006年に代表兼チーフデザイナーの山口絵理子がバングラデシュで立ち上げたブランドです。日本国内での販売に関しては、東京の台東区入谷に最初の実店舗をオープンし、2026年1月現在、国内で50店舗の直営店を運営しています。
弊社は、実店舗での接客やイベントを通じたお客さまとのコミュニケーションを重視してブランド運営を行ってきました。マザーハウスは、途上国の原材料を使い、現地の自社工場で生産しているという特徴がありますので、このような背景を持つマザーハウスの商品やブランドのことを知って、楽しんでいただきたい、という想いがあります。
年に一度ほど、サンクスイベントを開催し、生産国から職人にも来てもらい、実際の生産工程をご紹介する催しなども行っています。 イベントは大変好評で、多くのお客さまにご来場いただいています。

(サンクスイベント開催時の様子)
ー貴社のEC、オンラインでのコミュニケーションはこれまでどのような状況だったのでしょうか?
マザーハウスは対面での販売で成長してきただけに、オンラインでのコミュニケーションはコロナ禍以前まで最重要施策ではありませんでした。
ECプラットフォームや顧客管理システムなどは、少しずつ改善は行っていたものの、世の中のオンライン化の流れには十分についていけておらず、積極的にはオンラインの施策が行えていませんでした。
コロナ禍を経て、オンラインの販売体制やコミュニケーションを整える必要を実感し、シンガポール、台湾といった海外での販売で利用実績があったShopifyを2023年に国内向けECでも導入しました。

ーマザーハウスとお客さまとの関係性を語るうえで、独自のポイントプログラムである「ソーシャルポイント」は非常に重要な要素かと思います。今回、その運用基盤を総合ポイントアプリ「どこポイ」やオムニチャネル会員連携アプリ「Omni Hub」へ切り替えましたが、その背景について教えていただけますか?
ソーシャルポイントは、マザーハウスのオンラインストアや実店舗でご利用いただけるポイントプログラムです。
お買い上げ金額2,000円ごとに1ポイント貯まり、25ポイント貯まると1,500円分の割引として使えると同時に、ポイント利用に合わせて別途1,000円分がマザーハウスから社会貢献事業に寄付されます。最近では、能登半島地震やミャンマー大地震の被災地支援として、ソーシャルポイントを利用して寄付を行いました。

(海外自社工場での商品開発の様子)
この仕組みは創業初期から存在し、その後も少しずつ形を変えながら引き継がれていたため、2023年にShopifyを導入した時点では、ソーシャルポイントを含む仕組みとシステムは変更せずに継続利用することを選びました。
一方、必ずしもこのシステムはShopifyに合わせて設計・構築されたものではなかったので、拡張性や豊富なアプリの活用といったShopifyの強みを活かしきれず、ポイントは管理できているがそれ以上の施策は行えていない状況でした。
お客さまの購入商品に合わせて知ってほしい情報をお届けしたり、ポイントの失効間際にLINEで通知したりといった、お客さまに合わせたメッセージは今や当たり前の施策になりつつあります。オフラインでお客さま一人ひとりに向き合って接客をしてきたマザーハウスだからこそ、オンラインでも同じようにお客さまに合わせた接客を行うことが大事だと考えています。これを実現するために、2025年6月にShopifyを中心とする顧客管理へ移行するとともに、「どこポイ」や「Omni Hub」を利用し、ソーシャルポイントの仕組みもShopify上に統合しました。

(マザーハウス様ソーシャルポイントのアプリ構成図)
ソーシャルポイントのロジックは一般的なポイントプログラムと比べて少し複雑ですし、 ソーシャルビンテージという商品のケア・修理・回収プログラムにおいて、バック回収によるポイント付与を行うなど、特殊なポイント付与もあります。システム移行にあたってお客さまや店舗の運営に影響が出ないよう慎重に進める必要がありましたが、各アプリのサポートが迅速かつ丁寧でしたので、トラブルもなく移行することができました。

お客さまと店舗にとって嬉しいデジタルを。店舗案内もシンプルになり、より接客にフォーカスできるように。
ー実際にシステムを移行した後の手応えはいかがでしょうか?
オンライン上で便利な体験を作っていくことについてはまだ試行錯誤している段階なのですが、実店舗側の観点から見ても2つのポイントで「お店で使いやすいデジタル」な仕組みとなり、効果が得られていると感じています。
1つ目は、店舗での案内がスムーズになったことです。Shopifyを仕組みの中心とすることで、会員登録やログインでこれまで発生していたエラーがほぼなくなり、スムーズなご案内ができるようになりました。
2つ目は、接客時にスマレジでお客さまの過去のお買い物履歴などの情報を確認できるようになったり、検索性能が格段にアップしたことです。それらの裏側の仕組みは「Omni Hub」が支えてくれていて、Shopifyに登録されているお客さま情報を自由に選択して、スマレジへ連携できる仕組みが実現できました。これによってスマレジが「単なるPOS」ではなく、「接客ツール」に変化しています。

ー「どこポイ」と「Omni Hub」の利用開始と合わせて、LINE連携アプリ「CRM PLUS on LINE」を導入いただきました。現在のLINEの活用状況や今後の展望を教えてください。
これまではソーシャルポイントとLINEが連動していなかったこともあり、店舗では「ソーシャルポイントへの登録」を優先して、LINE公式アカウントに関するご案内が後手に回っていました。
CRM PLUS on LINEを導入したことで、ソーシャルポイントへの登録時にLINEログインが利用でき、同時にLINE公式アカウントの友だち追加もできるようになりました。

(店舗に設置されているLINEでの会員登録の案内)
LINEログインの導入後、約半年でLINE公式アカウントの友だち数が2万人以上増えていて、早速効果を実感しています。
これまでお客さまへの告知方法はメールが中心でしたが、ID連携された友だちも増えてきたため、コミュニケーションチャネルをLINEに大きくシフトしています。お店とオンラインが連動することで、店舗でお買い上げいただいた商品のケア方法や、ご訪問いただいた店舗でのイベント情報など、お客さまに合わせたメッセージをお届けできるようになりました。その結果、LINEで有意義な情報が届くと感じていただけるのか、運用開始以降ブロック率は確実に下がり続け、情報をお届けできるお客さまが増え続けています。
「マザーハウスのお客さま像」を明確にして、より豊かな体験づくりを目指す
ー今後の展望と、弊社への期待を教えてください。
Shopifyの機能を活用して、お客さまのことをもっと理解し、関係性を深めていきたいです。お客さまの中には、イベントに多数参加いただいている方、店舗に何度もお越しいただいている方などもいらして、多種多様です。
これまでは、「マザーハウスのお客さま像」や「マザーハウスに共感していただく過程」について、社内では印象論で議論することも多かったです。Shopifyを中心としてデータが可視化されるようになりましたので、今後は実際の状況も見ながら議論し、お客さまにもっと喜んでいただけるコンテンツなどを充実させていきたいです。
「どこポイ」「Omni Hub」「CRM PLUS on LINE」を提供するフィードフォースグループは、多くの支援実績をお持ちですし、お客さまが楽しく、便利に買い物する仕組みをどんどん作ってくれると期待しています。弊社はいち事業者として、現場の知見を共有していきますので、お客さまにご満足いただける体験を増やせるよう、伴走してくれると嬉しいです。

ーぜひ、今後も一緒により楽しく便利な買い物の仕組みを考えていけると幸いです!
